ローマ字表記方法
訓令式
内閣訓令第1号(1954年)で公式のローマ字のつづり方が定められた。
第1表が「訓令式」とよばれるものになる。
第2表の1~5行目(sha行~ja行)は「ヘボン式」、6行目~9行目(di行以降)は「日本式」による。
ローマ字のつづり方 訓令,告示制定文
内閣訓令 〔原文縦書き〕
内閣訓令第1号各官庁
国語を書き表わす場合に用いるローマ字のつづり方については、昭和十二年九月二十一日内閣訓令第三号をもつてその統一を図り、漸次これが実行を期したのであるが、その後、再びいくつかの方式が並び行われるようになり、官庁等の事務処理、一般社会生活、また教育・学術のうえにおいて、多くの不便があつた。これを統一し、単一化することは、事務能率を高め、教育の効果をあげ、学術の進歩を図るうえに資するところが少なくないと信ずる。
よつて政府は、今回国語審議会の建議の趣旨を採択して、よりどころとすべきローマ字のつづり方を、本日、内閣告示第一号をもつて告示した。今後、各官庁において、ローマ字で国語を書き表わす場合には、このつづり方によるとともに、広く各方面に、この使用を勧めて、その制定の趣旨が徹底するように努めることを希望する。
なお、昭和十二年九月二十一日内閣訓令第三号は、廃止する。昭和二十九年十二月九日
内閣総理大臣 吉田 茂
内閣告示 〔原文縦書き〕
内閣告示第一号国語を書き表わす場合に用いるローマ字のつづり方を次のように定める。
昭和二十九年十二月九日
内閣総理大臣 吉田 茂
内閣訓令第1号
ローマ字のつづり方 そえがき
前表に定めたもののほか、おおむね次の各項による。
ローマ字のつづり方 そえがき
- はねる音「ン」はすべてnと書く。
- はねる音を表わすnと次にくる母音字またはyとを切り離す必要がある場合には、nの次にを入れる。
- つまる音は、最初の子音字を重ねて表わす。
- 長音は母音字の上にをつけて表わす。なお、大文字の場合は、母音字を並べてもよい。
- 特殊音の書き表わし方は自由とする。
- 文の書きはじめ、および固有名詞は語頭を大文字で書く。なお、固有名詞以外の名詞の語頭を大文字で書いてもよい。
外務省ヘボン式
旅券申請時に外務省が「ヘボン式」としているローマ字表記。
外務省ヘボン式は、長音表記法がないため、訓令式と比べ原音再現性が低い欠陥がある。
(例)
大河内と小河内がともに、OKOCHI。訓令式の場合:ôkôtiとokôti。
公共と皇居がともに、KOKYO。訓令式の場合:kôkyôとkôkyo。
旅券法施行規則では、以下のように規定している。
第五条 第4号
平成元年外務省令第十一号 旅券法施行規則
第二項の氏名及び前項の規定による呼称はヘボン式ローマ字によって旅券面に表記する。ただし、申請者がその氏名又は呼称についてヘボン式によらないローマ字表記を希望し、外務大臣又は領事官が、出生証明書等により当該表記が適当であり、かつ、渡航の便宜のため特に必要であると認めるときは、この限りではない。
ヘボン式ローマ字綴方表
ア | A | イ | I | ウ | U | エ | E | オ | O |
カ | KA | キ | KI | ク | KU | ケ | KE | コ | KO |
サ | SA | シ | SHI | ス | SU | セ | SE | ソ | SO |
タ | TA | チ | CHI | ツ | TSU | テ | TE | ト | TO |
ナ | NA | ニ | NI | ヌ | NU | ネ | NE | ノ | NO |
ハ | HA | ヒ | HI | フ | FU | ヘ | HE | ホ | HO |
マ | MA | ミ | MI | ム | MU | メ | ME | モ | MO |
ヤ | YA | ユ | YU | ヨ | YO | ||||
ラ | RA | リ | RI | ル | RU | レ | RE | ロ | RO |
ワ | WA | ヰ | I | ヱ | E | ヲ | O | ||
ン | N(M) | ||||||||
ガ | GA | ギ | GI | グ | GU | ゲ | GE | ゴ | GO |
ザ | ZA | ジ | JI | ズ | ZU | ゼ | ZE | ゾ | ZO |
ダ | DA | ヂ | JI | ヅ | ZU | デ | DE | ド | DO |
バ | BA | ビ | BI | ブ | BU | ベ | BE | ボ | BO |
パ | PA | ピ | PI | プ | PU | ペ | PE | ポ | PO |
キャ | KYA | キュ | KYU | キョ | KYO | ||||
シャ | SHA | シュ | SHU | ショ | SHO | ||||
チャ | CHA | チュ | CHU | チョ | CHO | ||||
ニャ | NYA | ニュ | NYU | ニョ | NYO | ||||
ヒャ | HYA | ヒュ | HYU | ヒョ | HYO | ||||
ミャ | MYA | ミュ | MYU | ミョ | MYO | ||||
リャ | RYA | リュ | RYU | リョ | RYO | ||||
ギャ | GYA | ギュ | GYU | ギョ | GYO | ||||
ジャ | JA | ジュ | JU | ジョ | JO | ||||
ビャ | BYA | ビュ | BYU | ビョ | BYO | ||||
ピャ | PYA | ピュ | PYU | ピョ | PYO |
※参考
シェ | SHIE | チェ | CHIE | ティ | TEI | ニィ | NII | ニェ | NIE |
ファ | FUA | フィ | FUI | フェ | FUE | フォ | FUO | ジェ | JIE |
ディ | DEI | デュ | DEYU | ウィ | UI | ウェ | UE | ウォ | UO |
ヴァ | BA | ヴィ | BI | ヴ | BU | ヴェ | BE | ヴォ | BO |
ヴァ | BUA | ヴィ | BUI | ヴェ | BUE | ヴォ | BUO |
※注意 「ヴァ:VA」「ヴィ:VI」「ヴ:VU」「ヴェ:VE」「ヴォ:VO」は使用不可
【ヘボン式ローマ字表記へ変換する際の注意事項】 撥音:B、M、Pの前の「ん」は、NではなくMで表記します。 例:難波(ナンバ)NAMBA、本間(ホンマ)HOMMA、三瓶(サンペイ)SAMPEI促音:子音を重ねて表記します。 例:服部(ハットリ)HATTORI、吉川(キッカワ)KIKKAWA ただし、チ(CHI)、チャ(CHA)、チュ(CHU)、チョ(CHO)音の前には「T」を表記します。 例:発地(ホッチ)HOTCHI、八丁(ハッチョウ)HATCHO長音:OやUは記入しません。 ※長音表記を希望する場合には、下記【ヘボン式によらないローマ字氏名表記】を参照してください。 「―」を省略する場合 例:ニーナ(ニーナ)NINA、シーナ(シーナ)SHINA、サリー(サリー)SARI 「イ」を省略しない場合 例:新菜(ニイナ)NIINA、しいな(シイナ)SHIINA、さりい(サリイ)SARII 「ウ」を含む長音「ウウ」の場合(「UU」は表記しません。) 例:日向(ヒュウガ)HYUGA、裕貴(ユウキ)YUKI、優子(ユウコ)YUKO 「オ」を含む長音「オウ」の場合(「OU」は表記しません。) 例:幸太(コウタ)KOTA、洋子(ヨウコ)YOKO、亮子(リョウコ)RYOKO 「オ」を含む長音「オオ」の場合(「OO」は表記しません。) 例:大野(オオノ)ONO、大河内(オオコウチ)OKOCHI、大西(オオニシ)ONISHI 末尾が「オオ」音で、ヨミカタが「オ」の場合(「OO」と表記します。) 例:妹尾(セノオ)SENOO、高藤(タカトオ)TAKATOO、横尾(ヨコオ)YOKOO 末尾が「オウ」音で、ヨミカタが「ウ」の場合(「OU」とは表記しません。) 例:伊藤(イトウ)ITO、高藤(タカトウ)TAKATO、御園生(ミソノウ)MISONO 「ヴ」のつく氏名例 例:ヴィヴィアン(ヴィヴィアン)BUIBUIAN 又はBIBIAN、 ヴォードレール(ヴォードレール)BUODORERU 又はBODORERU |