Suica・PASMOが販売停止になった本当の理由

Suica・PASMOの販売停止

Suicaカードの販売停止の理由は、「世界的な半導体不足による」という理由であった。この不足により、Suicaカードの製造に必要なICチップの入手が困難になった。

販売停止カードと、販売停止時期については、以下の通り。
無記名式「Suica」カード:2023年6月8日から販売が停止。
記名式「Suica」カード:2023年8月2日から販売が停止。

販売継続商品
Suica 定期券、モバイルSuica、PASMO定期券、りんかいMy Suica(記名式)、りんかいSuica定期券、モバイルPASMO、Welcome Suica、Apple Pay のPASMO。

記名式の「Suica」及び「PASMO」カード発売の一時中止に関するお知らせ (2023 年 7 月 31 日 )

Suica・PASMOの販売再開

半導体の供給が回復し、今後も継続して供給できる見込みがたったため、2024年9月1日(日)より発売が再開されることになった。

発売再開日:2024年9月1日(日)
再開する商品:記名式の「Suica」、「りんかいSuica」、「PASMO」カード

記名式の「Suica」及び「PASMO」カード発売の再開に関するお知らせ (2024 年 8月 20 日 )

Suica・PASMOで採用されているICカードタイプ

Suicaは、2001年11月にJR東日本によって導入された。
Suicaは、ソニーが開発した非接触型ICカード技術「FeliCa」を採用している。

FeliCaの開発は1988年に始まったが、当初は物流分野での利用を目指していた。しかし、1990年代に入ると交通カードの開発に注力し、1997年に香港のオクトパスカードで初めて商用化された。この成功を受けて、JR東日本はSuicaにFeliCa技術を採用することを決定した。

FeliCaチップの累計出荷数は2024年時点で、約8億9,000万個に達している。
それに対し、MIFAREやEVMCoは、年間だけで数億枚発行していることが推測される。
パスポート、運転免許証、マイナンバーカードで採用されているICカードタイプは、主にISO/IEC 14443 Type Bとなっている。

ICカードタイプ採用例特徴コスト最大通信速度処理時間データ容量
FeliCa(Type F)Suica (日本), Octopus (香港)高速なデータ転送、強力な暗号化約200〜300円424 kbps約0.1秒4KB (FeliCa Standard), 224バイト (FeliCa Lite)
MIFARE (ISO/IEC 14443 Type A)PiTaPa (日本), Oyster (ロンドン), EZ-Link (シンガポール)広範な互換性、低コスト約50〜100円848kbps約0.5秒1KB〜4KB
EMVCo (ISO/IEC 14443 Type A, Type B)クレジットカード決済国際標準、広範な利用約300〜500円424 kbps約0.5秒8KB〜32KB
CalypsoNavigo (パリ), Rav-Kav (イスラエル)高いセキュリティ、交通専用約150〜250円848 kbps約0.5秒8KB〜32KB

なぜSuica・PASMOだけが販売停止となったか

Felicaの市場規模が小さく、製造メーカーが限られた状況になっていたことが販売停止の大きな原因であった。
Felica以外のICカードに使用される半導体が不足になっている状況は発生しなかったが、Felicaに使用される半導体製造メーカーの少なさが、この状況を発生させた。
Felica製造メーカーで生産が追い付かない状況になると、販売停止にせざるを得ない状況であるため、2024/09/01時点でも、全面販売再開にはなっていない。

国内の半導体事業の状況としては、パナソニックは2020年9月1日、台湾Winbond Electronics傘下のNuvoton Technology(以下、Nuvoton)への半導体事業の譲渡を完了した。譲渡によりパナソニック100%子会社のパナソニック セミコンダクターソリューションズ(PSCS)は「ヌヴォトン テクノロジージャパン」に社名変更していた。

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